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ミクロ経済学 予定問題集(H21年度まで)

''H22(2010)年度以降の予告問題は全面更新するので注意してください。H22(2010)年2月に実施した試験まで使っていたものです。'' [[H22〜H23年度の問題はこちら>microexam2010]] [[現在の問題はこちら>microexam]]
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<学習のヒント>

-教科書末尾の「索引」や「重要語解説」を活用しよう。同じような索引は、図書館にある多くの教科書にも備わっている。
-単語をインターネット検索してみるのも良い。ただし文章を丸写しするのはやめよう。たいてい別の受講者も同じ文章を写しているものだし、ふたりの答案にまったく同じ文章があると、たとえ数行でも案外目立つものである。
--インターネット検索で引いてきた文章には、誰が書いたか分からない無責任なものも、公的機関の報告書・専門家の文章など書籍と同程度に信じても良いものも混じっている。
--書籍になっているから無条件に信じて良い、というものでもない。ネットの記述であれ書籍の記述であれ、信じるに足る立場の書き手かどうか、立場を詐称している可能性はないか、立場と内容が関連しているか(経済の専門家が料理のことを語っていれば専門性のある内容は期待できない)を総合的に考えよう。
-試験が始まるまでは、話し合うことは重要な勉強である。

<1>次の文章の[ ]部分には、ミクロ経済学の考え方による経済学・経済現象の説明として、誤った部分がある。正しい文章になるように補足・訂正しなさい。[ ]が空欄であるときは、ミクロ経済学の考え方からみて正しい説明になるよう空欄を埋めなさい。ただし、「〜ではない」のように[ ]部分全体を否定した文章は正解にできない。

+公共財とは、[ ]、[ ]というふたつの性質をそなえた財のことを言う。(公共財という言葉は第1章に出てくるが、答えを知るための説明は講義指定範囲の外にある。教科書pp.372-373を自分で読んでおくこと)
+ふたつの財の無差別曲線がL字型に近くなるということは、ふたつの財の[   ]が小さいことを示す。
+無差別曲線の間隔が狭いことは、その周辺で効用関数の[    ]が大きいことを示す。
+注目している期間より前に完成した著作物や発明にも著作権料や特許料が支払われる。著作権料や特許料を受け取る側は、[その期間に対価に見合う生産活動はしなかった]と考えればよい。(ストックとフローに関する基本的な理解を問う問題だが、指定した教科書には十分な説明がない。一年次生向け科目「経済学」のマクロパートですでに習っているはずだが、高年次生や忘れてしまった人は、[[以前並河がマクロを担当した際のノート該当部分>http://hnami.sub.jp/p/index.php?basicmacro#content_1_0)]]を読んで考えて欲しい。
+部分均衡分析では他の財の価格や消費者の所得は外生変数として扱われる。部分均衡分析での外生変数とは、[他の市場で決まる変数のことである]。
+資源配分とは、注目している期間の最初からあった生産要素が、いろいろな使い道に配分されていくことを言う。期間の途中で生産されたものは、次の期間のための生産要素になることはあるが、この期間の間は[資源配分の過程から外れている]。
+その価格での需要量より供給量を少なくし、先着順(行列)や抽選で財を販売しても、[ ]を防ぐことができなければ、結局は市場メカニズムに沿った資源配分に近づく。(これは教科書に記述がない。定価で買われたコンサートチケットがネットオークションに流れることなどを指す短い表現を考えてみよう)
+N人の労働者が時給wの約束で8時間ずつ働けば、賃金8wNを受け取る。このとき8N人・時間の労働サービスを投入したと考えてもいいし、N人の労働者を8時間だけレンタルしたと考えてもいい。労働サービスを一定量得るという約束で労働者をレンタルしたのだから、どちらも実質的に同じことを言っている。そう考えると、銀行から企業家が資本を借りたとき払う「利子」は、[  ]への対価である。(上の問題にもあったように、ストックとフローについて復習すること。また、教科書8.1節、p.232も参照。)
+効用関数から需要関数を求めることができる。需要関数から効用関数を求めると、[その需要関数に対応するただひとつの効用関数が見つかる]。(教科書p.84参照)
+複数の序数的効用関数のもとで主体的均衡点を求めたとき、どんな価格や所得でも同じ消費の組み合わせが選ばれるとしたら、その効用関数は同じ[  ]を表すといえる。
+効用関数U(x1,x2)、U(x1,x2)+5、3×U(x1,x2)は同じ選好(好み)をあらわす効用関数である。同じ(x1,x2)でも効用関数の値はそれぞれ違うはずなのに、同じ好みだというのは、[ ]という意味である。
+家計の主体的均衡点では、すべての財の[限界効用は等しくなる]。
+コーヒーの価格が上昇すると、[所得効果が生じて紅茶の需要曲線は左下シフトする]。
--毎年シカバネ累々な問題。他の財の価格が変化したとき、(量的にはわずかでも)所得効果と代替効果の両方が生じます。まずそこから出発して、それ以外の部分もチェックしましょう。
+消費の所得弾力性は、[常にプラスである]。
+ギッフェン財は、[代替財]の性質を極端に強く持つ財である。
+コブ=ダグラス型効用関数を持つ消費者の主体的均衡点では、所得(予算)が変化してもそれぞれの財への[支出額]は変わらない。
+等生産量曲線と等費用曲線を使って費用最小化問題の解を見つけるには、[最小の費用に対応する等費用曲線を描いて、それにちょうど接する等生産量曲線を探す]。
+企業の主体的均衡点では、[利潤の黒字化]が達成される。
+需要曲線と供給曲線の2本の式から均衡価格・均衡生産量を求めるとき、「解がひとつしかないことが確かめられていない」としたら、[均衡価格・均衡生産量が経済学的に意味のない、マイナスの値を取るかもしれない]。
+一般均衡分析では、賃金水準や材料の価格と、それを使って作られる完成品の価格では、[完成品の価格のほうが後で決まる]。
+利己的な裁定行動は、市場の効率性を保つために有益だが、ヘッジファンドなど巨額の資金を自由に動かす経済主体が弊害を起こしているのは、[ ]ためである。
+AさんはB財が高くて買えないとき、効率的な資源配分を保ちつつAさんがB財を消費できるようにするには、政府は[財Bの価格統制を行うのが良い]。
+ミクロ経済学の標準的な説明では、独占の弊害は、[独占利潤を独占企業が稼いでしまう点にある]。(教科書のpp.258-265に基づいて講義するが、pp.203-207も読んでおくこと。)
+ミクロ経済学の独占状態に対する標準的な処方箋は、[  ]である。もし単に価格を低く規制すると、[  ]が生じる危険がある。


<2>「〜はA、B、Cのどれに含まれる(あてはまる)か」という形式で出題する。
--例 (果実、野菜)
--実際の出題形式 メロン、スダチはそれぞれ果実、野菜のどちらに含まれるか。
--考えるポイント 野菜的果実、果実的野菜についてそれぞれ調べてみましょう。農林水産省の分類に農業関係者も従っています。
+(生産された財、生産されたサービス、意識的に生産されていない財・サービス)
--考えるポイント 財とサービスの区別は有形か無形か。そのためにお金を払う人がいたなら、カタチはなくても、意識的にサービスをしてあげた人がいるはず。「生産された」かどうかは、「作ろうと思って作ったか、しようと思ってしたか」を考えてください。例えば株価の値上がりは?
+(所得(予算)の不足で実現しない需要、現在の価格で供給が需要を下回るので実現しない需要)
--考えるポイント イメージする価格や昔の価格より高いから買わないもの。皆さんの周りにありませんか。「ガソリンが150円なんてユルセナイ」とか。でもまさにそれが、価格メカニズムなのです。しかし「今の値段で買いたいのに買えない」ときは、価格メカニズム以外のもので取引量が決まっています。コンサートのチケットはよくそういうことになりますね。
+(主体的均衡点では成り立っているが、それ以外では成り立っていないかもしれない等式、常に成り立っている定義式や恒等式)
--考えるポイント 例えば「2つの財の限界代替率=限界効用の比率」は限界代替率を定義している式といってよく、主体的均衡点以外でも成り立ちます。言い換えれば、効用を最大化しない消費の組み合わせを選んでも、成り立ちます。しかし「限界代替率=相対価格」の関係は主体的均衡点では成り立っていますが、他では成り立ちません。
+(供給曲線だけをシフトさせる変化、需要曲線・供給曲線の両方をシフトさせる変化)
--考えるポイント 市場モデル全体にとっての外生変数は「選好(好み)」と「技術」です。それぞれ効用関数と生産関数に反映されています。「制度」や「環境」はその両方に関係する外生変数ですが、その話はこの問題では扱わないことにします。
--効用関数から需要関数、生産関数から供給関数が導けます。
--例えば安上がりな生産技術が見つかれば、供給関数だけがシフトします。しかし明らかに、消費者の暮らし・望みを変えてしまうような技術変化もあります。例えばフラッシュメモリやHDDを使うMP3プレーヤーの登場で、MDや録音用CD-Rへの需要は減退しています。効用関数と生産関数のあいだに数学的な依存関係はありませんが、技術に何ができるかを見ると、効用関数が変わる(要するに、欲しくなる)と考えるしかありません。変わり方のパターンを経済学は予測できない、というだけです。
+(固定費用が存在し、MCは逓増し、AC=MCのとき成り立つ命題、成り立たない命題)
--考えるポイント 例えば「その生産量で利潤が最大化される」「平均費用はその生産量のとき最低である」「その生産量で社会的余剰は最大となる」はそれぞれ成り立つでしょうか。次の問題と比べてみてください。
+(固定費用が存在し、MCは逓増し、市場価格pはACの最低点を上回っているという条件下で、p=MCとなるよう生産量を決めたとき成り立つ命題、成り立たない命題)
+(ミクロ経済学で「(正常)利潤」と呼ぶものに含まれるもの、含まれないもの)
--考えるポイント 超過利潤は正常利潤ではありません。売上高-費用が利潤なのですから、費用に含まれるものは利潤ではないことになりますね。株主への配当は? 銀行への利子支払いは? 経営者の給与は? 企業を再建したときなどに欧米の経営者がどーんと受け取る役員賞与は? ムズカシイですね。



<3>説明問題。想定している解答は長くても100字を超えない。
+需要の価格弾力性には単位がないが、このことによってある用途では、需要曲線の傾きを用いるより適切である。どんな用途か。
+予算制約線p1x1+p2x2=Mのp1とp2が両方2倍になったとき、予算制約線はどのように変化するか説明しなさい。
+予算制約線p1x1+p2x2=MのMが半分になったとき、予算制約線はどのように変化するか説明しなさい。
+効用水準の異なる無差別曲線は交わるように描いてはいけない。(教科書p79)交わるとモデルとして「破たん」が生じるのだが、何が起きるのか説明しなさい。
+無差別曲線が滑らかでなく、「L」字型のように角になった点を持っていると、経済合理的な消費の組み合わせが計算できないことがある。理由を説明しなさい。角があること以外、「右下がり」などの性質は満たしているとする。
+各消費者の個別需要曲線をどうすると、市場需要曲線を求めることができるか説明しなさい。
+財が2種類しかない世界では、それらの財は必ず代替財の関係にある。その理由を説明しなさい。
+確率的にプラスの遺産を残すことを予想して労働者が貯蓄行動をすることは、初歩的なミクロ経済学と矛盾する点がある。どう矛盾するか説明しなさい。
+生産要素価格が片方だけ上昇したとき、等費用曲線はどう変化するか。
+企業が(ある決まった生産量を実現する)費用を最小化するために、「技術的限界代替率が要素価格比に等しい」ことが条件となるのはなぜか。説明しなさい。
+規模の経済はふつう生産技術上の平均費用低下を言うが、購入量をまとめることで値引きすることも広い意味でのスケールメリットである。皆さんの生活の中で、量をまとめて値引きや費用節約をはかった実際の例を挙げなさい。一度だけあったことでも、継続していることでもかまわない。
+長期平均費用を最小にする生産水準が、その最小平均費用に対応する市場需要量に比べて十分に小さければ、企業の参入・退出が自由な長期では、各企業は平均費用を最小にする固定費用(生産規模と言い換えてもいい)を選び、MC=ACとなる市場価格が成立すると予想できる。理由を説明しなさい。
+「利潤が黒字であれば企業は主体的均衡点にある」という命題はミクロ経済学的には間違っています。理由を説明しなさい。
+世界市場が市場メカニズムに従って動いているなら、労働も資本(資金)も賃金や利回りの高いところに移動し、資源の最適配分が行われるはずである。しかし多くの場合、資金を国際的に動かすより、労働者が外国に移住するほうが困難であり、移住にかかるコスト(労働者の不便さ・不快さもこれに加わる)は賃金の差を上回る。その結果、労働移動の代わりに、世界経済では何が起こっているか。説明しなさい。
+市場価格が操業停止点(生産中止点)と損益分岐点の中間にあるとき、企業は生産をやめるより、赤字でも生産を続けることが合理的です。その理由を説明しなさい。
+少子化を迎え(高等教育サービスを生産する売り手としての)大学は過剰である。ワルラス調整過程・マーシャル調整過程に沿って考えると、今後何が起こると予想できるか。説明しなさい。
+外部性(公害・環境破壊、あるいはプラスの効果を周囲にもたらす知的集積など)があると、なぜ効率的な資源配分が達成できないのか、説明しなさい。
+労働供給曲線は他の多くの財と異なり、ある賃金水準の範囲では右下がりになることがある、といわれる。その範囲で労働供給曲線が右下がりになる理由を説明しなさい。
+土地は一般には生産できないものとされているが、土地が生産・居住のためのサービスを提供するから欲しがられる点に注目すれば、土地の代替財や土地サービスの代替サービスを考えることは出来る。例をひとつ挙げなさい。

-教科書:井堀利宏「入門ミクロ経済学」(新世社)

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