災害支援と義捐金

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最新版 (2011年5月15日 (日) 08:00) (ソースを表示)
(災害弔慰金法)
 
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 東日本大震災を中心にしたものであるため、制度の解説で「都道府県」について定められている事柄を、「県」と短く表現している場合があります。
 東日本大震災を中心にしたものであるため、制度の解説で「都道府県」について定められている事柄を、「県」と短く表現している場合があります。
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== 災害支援と義捐金 ==
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=== 義捐金 ===
=== 義捐金 ===
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 活動資金を寄付するには、毎年の寄付を約束して「社員」になる方法と、一回限りの寄付をする方法があります。後者の場合でも、義捐金の振込口座と、活動資金の振込口座は異なっています。
 活動資金を寄付するには、毎年の寄付を約束して「社員」になる方法と、一回限りの寄付をする方法があります。後者の場合でも、義捐金の振込口座と、活動資金の振込口座は異なっています。
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 後述する災害救助法に基づき、日本赤十字社が県の委託によって行った救助活動は、県と国が費用を負担します(災害救助法第33条)。
==== その他の団体の支援活動資金 ====
==== その他の団体の支援活動資金 ====
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==== 仮設住宅 ====
==== 仮設住宅 ====
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 仮設住宅については災害救助法に基づき、[http://l-e.jp/advice/content1997.html 厚生労働省告示で面積と設置費用の上限が定められています]。そして「2年しかいられない」というのは、じつは[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO201.html#1000000000006000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000 建築基準法第85条の4]の定め。たしかに住宅として安全に長期間使えるスペックではなさそうですね。
==== 食料配給など ====
==== 食料配給など ====
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 食料、飲料水、生活物資、学用品など、災害救助法にリストアップされているいくつかの物品は、上記の厚生労働省告示にある金額の範囲内で、県と国が負担します。県は災害救助基金を積み立てているほか、今回のように激甚な災害の場合、国が特別措置を取って県の負担分を肩代わりすることもあります。
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 支出行為は原則的に県が行うものですが、その事務を補助する意味で市町村が関わります。
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 本当は食料供給は7日間と定められていますが、弾力的に運用されています。7日間と言う救助の期限が来た後の3月19日、社援総発0319第1号「平成23(2011)年東北地方太平洋沖地震に係る災害救助法の弾力適用について」社会・援護局総務課長通知において、避難所の開設、食料の供給、飲料水の供給は2ヶ月まで実施してよいと厚生労働省は伝えました。
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 さらに5月6日、社援総発0506第1号「東日本大震災に係る災害救助法の弾力運用について(その7)」において、「2ヶ月を超えてなお当分の間」実施してよいという通知に変わりました。
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 また、自宅避難者は本来こうした制度の想定している対象ではありませんが、無事だった民家で共同生活をしている実態などを踏まえて、食料の配達が幅広く行われています。法の定めがあることではないので、地域により大きな事情の差があるようです。
=== 被災者生活再建支援法 ===
=== 被災者生活再建支援法 ===
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 災害救助法は仮設住宅や避難所の提供も現物に含めれば、現物支給がすべてです。モノはあげるがカネはあげないよという制度です。義捐金がまさにそのカネの部分を埋めるものなのですが、大規模災害であればあるほど、日本中から集まる義援金の総額は大きくなっても、ひとりひとりの生活支援に使えるお金はわずかです。それを否応なく意識させたのが阪神淡路大震災でした。
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 1998年に成立した[http://www.bousai.go.jp/hou/shiensya.html 被災者生活再建支援法]は、例えば住宅全壊の場合に100万円、それを再建する場合に200万円(単身者世帯はそれぞれ3/4に減額)など、都道府県が積み立てた基金と国の補助からいくらかを被災者に渡す法律です。
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 居住地の市町村役場が必要書類などの細部を指示します。関連自治体のwebページを見ると、住宅の全壊・半壊を示す罹災証明書、住民票、振込先となる預金通帳の移し、再建などによる加算を求めるときはそれを示す契約書類の写しが必要とされているようです。
=== 災害弔慰金法 ===
=== 災害弔慰金法 ===
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 [http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/saigaikyujo4.html 災害弔慰金、災害障害見舞金]は、一定の要件を満たす自然災害で死者や重度障害者が生じた場合、遺族・家族に災害弔慰金、災害障害見舞金を支払う制度です。生計維持者の死亡・障害には、そうでない家族の場合より高い額が支給されます。
=== 支援物資の受け入れ ===
=== 支援物資の受け入れ ===
==== 自治体による受け入れ ====
==== 自治体による受け入れ ====
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 自治体は食料・飲料も含め、個人・企業・団体から無償の支援物資を募っています。こうした物資は災害救助法の範囲外なので、自治体の判断で自宅避難者にも配られています。
==== NPOなどによる受け入れ ====
==== NPOなどによる受け入れ ====
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 特に個人からの物資は、新品でない肌着など好ましくない物品が送りつけられることも多く、謝絶している自治体も少なくありません。宅急便などの阿物流が回復した後も、NPOが窓口となって個人物資を受け付けている理由の一つは、こうした検品の防波堤を務めることです。

最新版

 このコンテンツは、東日本大震災に関する事柄を中心に、災害支援と義捐金に関する制度や概念を整理したものです。このコンテンツに含まれる意見や見解は並河永個人のものです。

 東日本大震災を中心にしたものであるため、制度の解説で「都道府県」について定められている事柄を、「県」と短く表現している場合があります。


目次

義捐金

日本赤十字社などの「義捐金」

日本赤十字社、中央共同募金会、日本放送協会、NHK厚生文化事業団が集めた義捐金は、厚生労働省の協力のもとに4団体が設置した義援金配分割合決定委員会によって配分ルールが決められ、原則としてすべてが被災者個人に配分されます。

 神戸市Webページ「震災資料室:義援金」によると、阪神・淡路大震災のさい寄せられた1792億円余の義捐金は、28通りの条件によって1787億円が被災者個人に配分され、残り5億円は募金ポスター作製やボランティア支援に使われました。

県や市町村への「義捐金」

 県や市町村が募集する義捐金は、多くが被災者個人に配分されるもので、それぞれの自治体が配分委員会を作って配分基準を決めます。集まる額とその地域での被害の大きさは比例しませんので、自治体によって配られる額は異なります。

 東日本大震災の場合、被害の大きさを算定する作業が進まない自治体は、後で想定より大きな損害であったことが分かると配分する義捐金が足りなくなるので、独自に集まった義捐金配分を他の自治体より先延ばしにしている場合があります。

 日本赤十字社などから市町村に配分されてきた義捐金は、市町村が条件に当てはまる被災者から申し込みを受け付け、被災者の口座に振り込みます。この受付準備は被災者の数や自治体施設の損害状況によって進捗が違うので、受付開始の早い市町村、遅い市町村の差ができました。

 いわき市は「被災された方々に対する生活支援のための義援金」と「災害復旧及び復興のための義援金」を別々の口座で受け付けています。南相馬市も少し名称が違いますが、同様に2種類の義援金を募集しています。宮古市・大槌町など被災者支援の義捐金とは別に、自治体への復興寄付金を募集している例もあります。

日本赤十字社の「活動資金」

 日本赤十字社「義援金」「海外救援金」「活動資金」の違いについてによると、日本赤十字社が現地で行う救援活動の費用は、「活動資金」によって賄われます。自衛隊の活動が国税で賄われているのに似ています。日本赤十字社が行っている活動すべてが活動資金によって賄われるのですから、東日本大震災に対する活動「だけ」を支援するようにはなっていません。

 活動資金を寄付するには、毎年の寄付を約束して「社員」になる方法と、一回限りの寄付をする方法があります。後者の場合でも、義捐金の振込口座と、活動資金の振込口座は異なっています。

 後述する災害救助法に基づき、日本赤十字社が県の委託によって行った救助活動は、県と国が費用を負担します(災害救助法第33条)。

その他の団体の支援活動資金

 いろいろな団体が被災地で活動しています。炊き出しなど物品を配る活動もあり、被災者への配分に時間がかかる義捐金よりも即効性があります。日本財団(ROADプロジェクト)のように「NPOを資金助成するNPO」もありますし、JustGiving Japanのように「NPOの資金集め(クレジットカード決済など)を支援するNPO」もあります。

災害救助法に基く支援

仮設住宅

 仮設住宅については災害救助法に基づき、厚生労働省告示で面積と設置費用の上限が定められています。そして「2年しかいられない」というのは、じつは建築基準法第85条の4の定め。たしかに住宅として安全に長期間使えるスペックではなさそうですね。

食料配給など

 食料、飲料水、生活物資、学用品など、災害救助法にリストアップされているいくつかの物品は、上記の厚生労働省告示にある金額の範囲内で、県と国が負担します。県は災害救助基金を積み立てているほか、今回のように激甚な災害の場合、国が特別措置を取って県の負担分を肩代わりすることもあります。

 支出行為は原則的に県が行うものですが、その事務を補助する意味で市町村が関わります。

 本当は食料供給は7日間と定められていますが、弾力的に運用されています。7日間と言う救助の期限が来た後の3月19日、社援総発0319第1号「平成23(2011)年東北地方太平洋沖地震に係る災害救助法の弾力適用について」社会・援護局総務課長通知において、避難所の開設、食料の供給、飲料水の供給は2ヶ月まで実施してよいと厚生労働省は伝えました。

 さらに5月6日、社援総発0506第1号「東日本大震災に係る災害救助法の弾力運用について(その7)」において、「2ヶ月を超えてなお当分の間」実施してよいという通知に変わりました。

 また、自宅避難者は本来こうした制度の想定している対象ではありませんが、無事だった民家で共同生活をしている実態などを踏まえて、食料の配達が幅広く行われています。法の定めがあることではないので、地域により大きな事情の差があるようです。

被災者生活再建支援法

 災害救助法は仮設住宅や避難所の提供も現物に含めれば、現物支給がすべてです。モノはあげるがカネはあげないよという制度です。義捐金がまさにそのカネの部分を埋めるものなのですが、大規模災害であればあるほど、日本中から集まる義援金の総額は大きくなっても、ひとりひとりの生活支援に使えるお金はわずかです。それを否応なく意識させたのが阪神淡路大震災でした。

 1998年に成立した被災者生活再建支援法は、例えば住宅全壊の場合に100万円、それを再建する場合に200万円(単身者世帯はそれぞれ3/4に減額)など、都道府県が積み立てた基金と国の補助からいくらかを被災者に渡す法律です。

 居住地の市町村役場が必要書類などの細部を指示します。関連自治体のwebページを見ると、住宅の全壊・半壊を示す罹災証明書、住民票、振込先となる預金通帳の移し、再建などによる加算を求めるときはそれを示す契約書類の写しが必要とされているようです。

災害弔慰金法

 災害弔慰金、災害障害見舞金は、一定の要件を満たす自然災害で死者や重度障害者が生じた場合、遺族・家族に災害弔慰金、災害障害見舞金を支払う制度です。生計維持者の死亡・障害には、そうでない家族の場合より高い額が支給されます。

支援物資の受け入れ

自治体による受け入れ

 自治体は食料・飲料も含め、個人・企業・団体から無償の支援物資を募っています。こうした物資は災害救助法の範囲外なので、自治体の判断で自宅避難者にも配られています。

NPOなどによる受け入れ

 特に個人からの物資は、新品でない肌着など好ましくない物品が送りつけられることも多く、謝絶している自治体も少なくありません。宅急便などの阿物流が回復した後も、NPOが窓口となって個人物資を受け付けている理由の一つは、こうした検品の防波堤を務めることです。

個人用ツール