この問題は「ミクロ経済学」の昼夜間共通予告問題と、対応する教科書の範囲、その範囲の重要用語をまとめたもので、H22(2010)年度前期試験〜H23年度後期試験まで使っていました。2012年4月以降は、別の問題を使用します。 38問の予告問題には連続した番号が振ってあります。この中から4問を出題します。 重要用語は、各パートを基本的に理解するために必要な言葉です。わからない言葉があったら教科書やノートで復習してください。重要用語自体は予告問題ではありませんが、これがわからないと予告問題がうまく解けないでしょう。 ノートが取れるようになることは、社会で大学卒業者にふさわしい仕事に就くために絶対に必要です。仕事の打ち合わせでちゃんとメモが取れないことを意味するからです。予告問題の答えは公開していませんし、質問にはお答えできません。予告問題が解けるように、他の受講者と話し合うことを含めて、自分なりの解答が用意できるまで(広い意味で)勉強してください。それがこの講義の目標であり、単位取得者に要求することの中心です。
[1]イントロダクション/数学準備 †予告問題はありません。 [2]市場とは何か(教科書「入門ミクロ経済学」井堀利宏 第1章) †
効用 経済主体 機会費用 限界概念 合理性(合理的行動) ストックとフローは、経済学部生は基本科目「経済学」のマクロパートで習っているはずです。ミクロ経済学を教科書の中で終わらせるなら理解しなくてもどうということはありません。仮に予告問題に影響するとしてもわずかでしょう。しかし実際に世界で起こっていることをミクロ経済学の視点から理解するには、ストックとフローについて理解する必要があります。ストックの市場もフローの市場も存在するからです。
1.多くの財・サービスでは、売り手が値札をつけ、買い手が値引き交渉をすることができない販売の仕方が普通である。そのような販売の場も市場と呼ばれるが、では市場とはどのような場だと説明すればいいか。 2.家賃は何への対価か。 3.リンゴは品種や大きさによって、同じ日の同じ店でも値段が違う。「リンゴの市場」や「リンゴの価格」を考えることにはどんな意味があるのか。説明しなさい。 4.公共財はふたつの性質を持っている財のことを言う。ふたつの性質を答えなさい。[教科書12章に「公共財」についての解説がある。] [3]需要と供給(1)(教科書 第2章2.1と2.3) †
需要曲線のシフト 内生変数・外生変数 弾力性 需要の価格弾力性 需要の所得弾力性
5.リンゴの需要曲線が右上シフトする原因を2つあげなさい。 6.需要曲線と供給曲線から成るモデルにとっての内生変数をすべてあげなさい。 7.需要の価格弾力性と需要曲線の傾きはどのような関係にあるか。 8.需要曲線の傾きでなく需要の価格弾力性に注目することにはどんな利点があるか説明しなさい。 [4]需要と供給(2)(教科書 第2章2.2と2.4) †
供給曲線のシフト 部分均衡と一般均衡 注 部分均衡と一般均衡は教科書の1章に説明があるが、ここまで学んでから説明を読みなおすとよい。
9.リンゴの供給曲線が左上シフトする原因を2つあげなさい。 10.ある農産物の取引量と価格を特定の競売市場で毎日記録して、100日分のデータをとり、それを価格・取引量を縦軸・横軸にとったグラフに書き込んだとする。この点の集まりは需要曲線・供給曲線のどちらの上に乗っているか。 [5]需要と供給(3)(教科書 第2章2.5) †
市場均衡 部分均衡 転売
11.均衡賃金を超える最低賃金を定めると、労働市場で何が起きるか説明しなさい。 12.国内では生産が少ない財の輸入量を近郊取引量未満に制限すると何が起きるか説明しなさい。 13.ある特定の財にだけ間接税をかけると、何が起きるか説明しなさい。 [6]消費(1) (教科書 第3章3.1〜3.3) †
効用関数 限界効用 限界効用逓減 序数的効用と基数的効用 予算制約式
14.予算制約式 p1x1+p2x2=Mを表すグラフを示し、この制約のもとで実現可能な消費の組み合わせを斜線で示しなさい。また、縦軸・横軸との交点での軸上の値をグラフに書き入れなさい。 15.予算が2倍になると、予算制約式はどう変化するか説明しなさい。 16.第1財と第2財のうち第1財の価格だけ2倍になると、予算制約式はどう変化するか説明しなさい。 [7]消費(2)(教科書 第3章 3.4〜3.5) †
無差別曲線 主体的均衡点 限界代替率 相対価格
17.家計の合理的行動に矛盾がなく、ただひとつの主体的均衡点が得られるために、無差別曲線が満たさないといけない条件を3つあげなさい。 18.家計の主体的均衡のための必要条件は「どの2財をとっても限界代替率=相対価格」である。その直観的意味を説明しなさい。 19.無差別曲線に滑らかでない(角になっている)点があるとしたら、その周りで合理的行動を考えるのにどんな難しさがあるか説明しなさい。 [8]消費(3) (教科書 第3章3.6〜3.7) †
所得効果 代替効果 正常財(上級財) 下級財
20.豚肉の輸入が豚の病気などの事情で減少し、豚肉価格が高騰したとき、それが牛肉の需要量に与える影響を説明しなさい。 21.豚肉の輸入が豚の病気などの事情で減少し、豚肉価格が高騰したとき、それがある消費者の魚肉ソーセージ需要量に与える影響を説明しなさい。ただしその消費者にとって、現在の予算や消費の組み合わせでは魚肉ソーセージは下級財であるとする。 22.ギッフェン財はなぜほとんど存在しないか説明しなさい。 [9] 貯蓄行動と労働供給(教科書 第4章4.1〜4.2) †
ライフサイクル仮説 時間選好率
23.労働供給曲線が右下がりになるケースについて、その理由を説明しなさい。 24.ライフサイクル仮説に基づく貯蓄行動とはどのような行動か。説明しなさい。 25.ライフサイクル仮説で説明できない貯蓄行動にはどのようなものがあるか説明しなさい。 [10]生産(1) (教科書 第5章5.1〜5.4) †
生産要素 生産関数 費用関数 平均生産 限界生産 技術的限界代替率
26.生産関数上の点Aについて、そこでの限界生産と平均生産を図示しなさい。[出題する場合、生産関数のグラフと点Aは問題兼解答用紙に描かれているものとします] 27.企業の費用最小化のための必要条件は「どの2生産要素をとっても技術的限界代替率=相対要素価格」である。その直観的意味を説明しなさい。 [11]生産(2) (教科書 第5章5.5〜5.6) †
固定費用 可変費用 限界費用 平均費用 規模の経済 範囲の経済 長期平均費用
28.携帯電話会社はなぜ新規顧客にだけ携帯電話を割り引くのか。「固定費用」「可変費用」という言葉を使って説明しなさい。 29.コンビニエンスストアはどのように範囲の経済を発揮しているか説明しなさい。 30.銀行が大規模な合併によってメガバンクとなることで考えられる利点をあげなさい。 [12]生産(3) (教科書 第6章) †
利潤 操業停止点 損益分岐点 限界収入
31.限界収入と価格が一致しないのはどういう場合か説明しなさい。 32.価格が操業停止点と損益分岐点の中間にあるとき、企業はどういう状態にあるか説明しなさい。 33.「利潤最大化は企業の黒字を保証しないのだから、企業の存続にとって利潤最大化を目指すことには意味がない」という主張に対して、ミクロ経済学で考えられている企業の合理的行動を説明しなさい。 [13]市場メカニズムと経済効率 (教科書 第7章 7.1、7.3、7.5〜7.6) †
完全競争 競争均衡 パレート最適(パレート効率性) 資源配分 再分配
34.パレート最適について説明しなさい。 35.特定の類型に当てはまる人々(例えば子供のいる家庭)を経済的に優遇することが政治的に望ましいとき、ミクロ経済学の観点からはどうすればよいのか説明しなさい。 36.慢性的に赤字を出し続ける中小企業を、政治的な優遇措置で存続させることはパレート最適ではない。その理由を説明しなさい。 [14]独占企業の利潤最大化問題(教科書 第7章 7.4および第9章 9.1) †
独占価格 生産者余剰 消費者余剰 社会的余剰 死荷重
37.需要曲線、独占企業の供給曲線、限界収入曲線が図示されている。独占価格はどのように決まるか図中に書き込みなさい。 38.コンサートチケットが転売されることは、転売をうまく禁止できた場合に比べて、パレートの意味で改善されると期待できるか。理由をつけて答えなさい。 |