この話に入る前に

インフレターゲット論

  • フローの世界がデフレ(物価下落状態)になると、固定利率で約束している利子の支払い負担は、だんだん重くなります。逆ならだんだん軽くなります。
  • このことは、有利子負債を抱えた企業の収益を悪化させ、投資の切り詰めや賃金カット・解雇につながります。わざとインフレ状態に経済を誘導すれば、企業の負担は軽くなり、逆方向の変化が起きるはずです。また、企業収益が好転するのですから株価も全体として上がり、ストックの値上がりがフローの世界を好況にするはずです。
  • インフレをわざと起こすには、貨幣を多めに供給してやるのが常道です。最も簡単なのは、日本銀行に国債を引き受けさせ(買わせ)、政府支出を通じて余計な通貨を使ってやることです。このことは財政赤字の処理をぐっと簡単にしますし、間接的にも国債の利子支払い負担を軽くするので、政府にとって非常に好都合です。
  • 国内でフローの所得を受け取る人々は、これによって得をします。負債を抱えている人も企業も得をします。ところが損をするのは、有利子債権を持っている人たちです。特に国債を持っている海外投資家は、損失を嫌って日本国債を、場合によっては円建て資産全体を投売りするでしょう。日本でだけインフレが進むということは、円建て資産が外国通貨に対して目減りするということだからです。そうすると日本の金融市場で一気に資金の貸し手がいなくなり、かえって利率が跳ね上がって、お金を借りている企業や個人を圧迫するかもしれません。
  • インフレターゲットを設定してインフレ誘導政策を実行することに賛否が割れてなかなか決着がつかないのは、良い影響と悪い影響のどちらが大きいか、やってみないとわからない部分が大きいからです。

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Last-modified: 2008-12-11 (木) 22:19:28 (5616d)