状況整理あるある集

投機原理と延期原理

 このふたつはマーケティング論の基本概念で、オルダースンが初めてこの言葉を使いました。

 消費の瞬間に生産の意思決定を近づける(遅らせる)ほうがいいのだ、という考え方が延期原理。生産の意思決定を早めるほうがいいのだ、という考え方が投機原理です。

  • 投機原理のメリット
    • 大量生産によるコストダウンを追及できる
    • 生産技術が、多品種少量生産に対応しないシンプルなもので済む
    • 最新状況を細かく判断するために、販売現場と連絡を取り合うシステムが不要
  • 延期原理のメリット
    • 在庫と売れ残りリスクを小さくできる

 投機原理と延期原理はトレードオフの関係にあって、どちらも常に、いくらかは正しいのです。そして現実はこの二つのバランスの間を揺れ動いています。例えばコンビニがいつも新鮮な弁当を供給できるのは、

  • 段取り替え(ある製品を作っていたラインで、別の製品を作る準備)を迅速に低コストでできる生産技術
  • 大量の情報を安上がりに確実にやり取りするIT技術
  • 走行中の車との通信や、商品の迅速で正確な仕分け(ピッキング)を伴う、小口物流技術

 などに支えられてのことです。これらが急速に発達したことで、延期原理のデメリットが小さくなっていき、生産の意思決定は消費時点に近づきました。  他の産業では、あるいは他の時期には、逆方向の変化が起こるかもしれません。例えば中小飲食店は、食材を大量に安く仕入れ、工場でまとめて半分調理した冷凍食材をたくさんの店舗に配るチェーン飲食店と、競争し続けています。


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Last-modified: 2008-12-11 (木) 22:19:33 (5616d)