計量経済学のためのR環境

スクリプトを書く

 Rでは作業手順を指示するプログラムをスクリプトと読んでいるので、この記事ではスクリプトという表現に統一します。例えばR動作テストプログラムに掲げているのは簡単なスクリプトです。

 スクリプトは、Rguiの上で1行ずつ書くこともできますが、ワープロやエディタを使って書くことをおすすめします。

スクリプトの保存と管理

 先にデータが見つかって、「このデータを使って何が言えるか考えてみる」ときは、ああでもないこうでもないとグラフを描いたり相関を取ったりしてみるものです。こういうときは、データを読み込むスクリプトだけ書いて、あとはオンラインで思いつくまま、1行ずつ操作を指示するほうが便利でしょう。操作と操作結果をログファイルとして保存して置けばよいのです(「ファイル」→「履歴の保存」)。

 ただ計量経済学そのものを勉強しているときや、きちんとレポート・論文を書くときは、「こう指示したらこうなった」という記録を明確に残しておくほうが便利です。スクリプトそれぞれに番号などでファイル名をつけておけば、似たようなログファイルをたくさん残すとき、整理しやすくなります。

 もうひとつ、軽視できない利点は、スクリプトを確実に保存できることです。ワープロやエディタでは、編集中のファイルを1行でも変更したら、終了しようとするとき「保存しますか」といった警告が出ます。Rはログファイルを保存しなくても警告を出しません。Rの外でスクリプトを作り、確実に保存しておくのが安全です。できればハードディスクとUSBメモリなど、2ヶ所以上に保存して、バックアップを作っておくのが良いでしょう。

データと一体になったスクリプトの実行

 簡単な例として、R動作テストプログラムを実行してみましょう。まずこの内容をコピーして、あなたが慣れているワープロやエディタにペーストし、prog1.txtとしてどこかに保存します(どこでもいいのですが、ここではRのデータ入力にならってbin\dを使います)。特にワープロを使う場合、Word形式のファイルなどではなく、テキスト形式のファイルとしてスクリプトを保存してください。もしコピーペーストを覚えていない人がいたら、この機会に慣れましょう。

 Rguiを起動し、「ファイル」→「スクリプトを開く」を選んでください。 gamen3.jpg

 何も表示されません。失敗でしょうか。一番下にある「ファイルの種類」をクリックして、「all files」に変更してください。表示が変わります。

gamen4.jpg

 お気づきのように、Rスクリプトは拡張子として.Rをつけるのが昔からの習慣になっています。しかし普通にコンピュータを道具として使っている人は、テキスト形式のファイルを意識して作ることすら滅多にないでしょう。.Rをつけてしまうと、今度はワープロやエディタでそのファイルが見つけにくくなってしまいます。この記事は文系の学部学生向けに書いているので、.txtでスクリプトファイルを作っていくことにします。たぶんそのほうが、覚えることが少なくて済みます。

 prog1を選びます。prog1の内容が新しいウィンドウに表示されましたか?

 次に、「編集」→「全て実行」を選ぶと、一気にログが流れます。R動作テスト結果と同じ内容のログが(>のついた行は赤く表示されているはずですが)出力されていますか? 必要ならここで、「ファイル」→「履歴の保存」でログファイルを保存します。

 エラーが出た? Rを起動してからtseriesとlmtestを「読み込み」しましたか?拡張パッケージの読み込みを行ってください。

データファイルが別にあるスクリプトの実行

 Rのデータ入力では、データをsample3.csvという名前でbinの下のdというディレクトリに保存し、スクリプトの最初でそれを読み出しました。この例でもそうでしたが、CSV形式などRで扱えるデータファイルがどこにあるか、スクリプトの最初で指定すること以外、データファイルが別の場合でもスクリプト実行の手順は同じです。


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Last-modified: 2008-12-11 (木) 22:19:24 (5617d)