Windowsでのフリー統計環境

 学生に自由に使わせる統計パッケージがないからアレができないコレができない、とよく聞きます。経済学ばかりでもないと思いますが。

 KNOPPIX MATHはどうなんだ、EXCELならどうだ、というと、いやアレがどうしても要るから、コレが欲しいから、という答えが返ってきます。

 埼玉大学では英語教育のために、平成16年度から入学者全員にノートパソコンを用意してもらっています。これに手っ取り早く計量経済学を実習できる環境を作るにはどうしたらいいか、と考えて、Rにたどりつきました。

Rとは

 統計パッケージRGPLライセンスで無償配布されているオープンソースソフトウェアです。追加パッケージによって、ARMAなどの時系列分析やDWなどの伝統的な重回帰分析に関する推定に対応できます。パッケージリストによるとパネル分析もありますが、今回は試していません。

Rによる計量経済学の教科書

Applied Econometrics with Rが2008年に出版されました。6000円を超える高い本ですが、例題などを収めたR用のデータパッケージも無償配布されていますから、授業料込みと考えれば安いマニュアルです。

配布用フォルダを作る

基本パッケージのダウンロード

 CRANのサイトからソフトをダウンロードします。「Windows (95 and later) 」を選ぶとbase(基本パッケージ)とcontrib(拡張パッケージ)というふたつのリンクが現れます。まずbaseからR-2.8.0-win32.exe(将来はもっとバージョンが上がるでしょう)をダウンロードします。

拡張パッケージのダウンロード

 contribに戻って、「2.8」というフォルダの下にあるファイルのうち、「lmtest」「quadprog」「tseries」「zoo」でそれぞれ始まる4つのzipファイルをダウンロードします。もし基本パッケージのバージョンがもっと進んでいれば、対応するフォルダを使います。

  • バージョン番号はパッケージによってバラバラです。パッケージ自体はbaseとは別に改良され、バージョンが上がっていくからです。

 じつは、必要なのはlmtestとtseriesです。この2つをインストールするためには、あとの2つが必要なのです。インストールしようとすると、「○○が見つからない」と英語でエラーメッセージが出るのでわかります。皆さんが他のパッケージをインストールしたとき、同様の問題にぶつかるかもしれません。

  • これらの作業の代わりに、次の項目にあるインストールを終わってからRguiを起動して「パッケージ」→「パッケージのインストール」を選ぶと、もしコンピュータがネットワークにつながっているなら世界各地のRライブラリを置いているミラーサイト一覧が出てきます。「Japan(Aizu)」か「Japan(Tsukuba)」を選ぶと、現在ダウンロードできるパッケージ一覧が出ますから、そこから必要なパッケージを選ぶと、インストールを行なえます。このほうが、必要な他のパッケージを自動判定していっしょにインストールしてくれるので楽です。

インストール

 基本パッケージをインストールします。インストール内容を聞かれますが、ヘルプファイルなども全部インストールしておくのが無難でしょう。起動します。文字化けしましたか? よろしい。

 現在配布されているR-2.8.0では、以下の操作は必要なくなりました。最初から日本語で表示されます。古いバージョンをお使いの方のために残しておきます。

  • 文字化けしているのは、基本フォントが初期値のCourierになっているからです。日本語Windowsにインストールしている限り、メニューは日本語になっているはず。「編集」から「GUIプリファレンス」を選びます。「Rgui設定エディター」という英語メニューが出ます。「Font」から「MS Mincho」を選び、下の「反映」をクリック。日本語表示になったのを確認して、「保存」します。「マイ ドキュメント」に「Rconsole」という名で設定がセーブされるはずです。次からは起動時から日本語表示になります。

拡張パッケージのインストール

 今度は「パッケージ」メニューから「ローカルにあるzipファイルからのパッケージのインストール」を選びます。さきほどの4つのzipファイルをひとつずつインストールしますが、quadprogとzooは他の2つより先にします。順番が違うとエラーが出ますが、正しい順番でやり直せば問題なし。

拡張パッケージの読み込み

「パッケージ」メニューからlmtestとtseriesをそれぞれ「読み込み」ます。読み込まなくてもインストールしたパッケージは消えませんが、起動してから拡張パッケージにしかない機能を使うまでに、「読み込み」を一度だけしないといけません。

  • スクリプトを自分で書く(人のものを直す)ようになったら、スクリプトの先頭に「library(tseries)」などと読み込むパッケージ名を書いて、自動で読み込みを行なうこともできます。

動作テスト

 R動作テストプログラムの文字列全体をコピーして、「R Console」というウインドウのプロンプト(入力待ちの>)のところにペーストし、Enterキーを押してみましょう。R動作テスト結果が出てきたら成功です。

配布先コンピュータへのコピー

Program Files\R\R-2.2.0  というフォルダをまるごと、CD-RやUSBメモリやネットワークを使って、他のマシンに移します。

 これだけ。

配布先コンピュータでRを使えるようにする

コピー後に一度だけする動作

 現在配布されているR-2.8.0では、以下の操作は必要なくなりました。最初から日本語で表示されます。古いバージョンをお使いの方のために残しておきます。

  • インストールでやった、MS明朝を指定する動作は、配布先コンピュータで改めてやったほうが良いでしょう。Rconsoleをコピーしても良いのですが、このファイルだけコピー場所が違うので。

毎回起動時に行う動作

 拡張パッケージの読み込みは、拡張機能を使うときには、Rを起動するたび1回必要です。quadprogやzooのように、目的のパッケージが必要とするパッケージは、目的のパッケージと一緒に自動的に読み込まれます。ただし、使用するスクリプトの先頭に「library(パッケージ名)」という行を必ず書くことにするなら、この操作は不要です。

 必要なら、作業用ディレクトリの指定と変更(R) をします。

とりあえず動かしたい人のための大雑把な説明

出力結果の保存はどうするの?

 プロット結果などの図は右クリックするとコピー(クリップボード行き)や保存を選べます。

 ログは「ファイル」→「履歴の保存」や「ファイル」→「ファイルを保存」で保存できます。

バッチ処理はどうするの?

 最近のRにはRgui(Rcommander)が標準でついてきます。Rguiでスクリプトを読み込み、実行し、上記の方法でログを保存するのが一番簡便です。

データ入力はどうするの?

 CSVファイルを読めるので、Excelなどの表計算ソフトで入力して別ファイルにするのが無難です。R-Tipsの27-30日目を見てください。

データ入力の詳しい説明

 Rのデータ入力をご覧ください。

スクリプト実行(バッチ処理)の詳しい説明

 Rのスクリプト実行をご覧ください。スクリプトはRで実行するプログラムのことだと思ってください。

Rによる講義ノート

 並河が隔年で担当する学部用の講義ノートです。年度途中に追加したコンテンツや、より高度なコンテンツはこちらにあります

Rの著作権表記

 R Development Core Team (2005). R: A language and environment for
 statistical computing. R Foundation for Statistical Computing,
 Vienna, Austria. ISBN 3-900051-07-0, URL http://www.R-project.org.

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Last-modified: 2008-12-29 (月) 18:41:41 (5681d)