機会費用
損益は収入(売上高)と費用の差 †
利潤=収入−費用
- です。収入はよく使われる言葉では「売上高」と同じ意味。費用は限界費用の項にある総費用と同じものです。
- 製品1個当たり費用(利潤)を平均費用(平均利潤)と呼びます。収入は価格×個数なのですから、上の式全体を個数で割ると
平均利潤=価格−平均費用
- という当たり前の式が出てきます。つまり、利潤が赤字か黒字かは、価格と平均費用の関係で決まり、限界費用とは関係ないのです。ところがいっぽう、競争市場での利潤最大化の必要条件は、価格=限界費用なのです。→なぜ限界費用は重要か
- これは矛盾のようで、矛盾ではありません。以下のように理解してください。
- 黒字であっても、他にもっといい選択があるかもしれない。それを選択せず放置しているとしたら、プラスの機会費用が生じていて、経済合理的でない。
- 機会費用の生じない選択をして利潤を最大化しても、赤字かもしれない。
それは現実には何を意味するのか †
- 例えば金融機関がプラスの利回りを約束していても、利回りに差があれば高い利子率のところへ預貯金は動くでしょう。あるいは現在の情勢なら、利子率の高い金融機関には何かあるんじゃないか、と疑う人もいるかもしれません。少なくとも、利子率がプラスならどこでもいいや、という行動は経済合理的でないことは確かです。もちろん、利子率があまりに低くて、計算する手間に合わないから検討しようとしない人は大勢いますが。
- 赤字には2種類あります。
- 可変費用>収入なら、本当に何もしないほうがましです。
- 総費用>収入>可変費用なら、固定費用を含めるとたしかに赤字ですが、生産をやめるより生産したほうが赤字は小さくなります。設備更新や建て替えの必要が生じて、固定費用を払い直すかどうかの意思決定をするときに、その企業は静かに市場から退出してゆくのが合理的です。他に働き口の見つけにくい(見つけてもわずかな賃金しか得られない)経営者が店先で働いているときなども同様に考えられます。
- ただし、固定費用(の一部)がサンクしていないとしたら、別の可能性があります。サンクしていないとは、生産をやめれば固定費用が返ってくるということです。
- 例えば便利な位置にある小売店を自分で所有している店主は、自分の小売店を閉めて店舗を人に貸したほうが増収になるかもしれません。
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