経済合理的行動
経済合理的行動はひとつではない? †
- 経済主体の選べる選択肢は、時間が経てば変化します。また、選択の結果にはずっと後で現れるものもありますから、いつからいつまでの期間に注目するかによって、それぞれの選択がもたらす利潤や効用は違います。
- 例えば日本経済が成長しているころは、無借金経営で利益を出して法人税や配当を払うより、有利子負債を背負って(支払利子は費用扱いで、法人税がかからないので)内部留保を大きくし、どんどん投資していけば企業の成長スピードは上がりました。それにつれて株価も上がるので、配当の少ないことに株主もあまり不満を言いませんでした。日本経済が停滞すると、わざと負債を負う経営はただの赤字経営になり、優良企業と思われていた多くの大企業が経営を破綻させました。
発想の切り替え †
- 状況が少しでも変われば、経済合理的な行動は変化するかもしれません。今までになかった選択肢が、今まで最善だった選択肢より得であれば、すぐ行動を変えるのが合理的です。それは実際にはとても無理なことかもしれませんが、良くも悪くも、経済合理性とはそういうものなのです。無理なことを教えてあんたら飯食ってるのか、と思う人はこちら
済んだ選択とこれからの選択 †
- 経済合理的行動のためには、すでに決めてしまったことと、これから決められること(決めなおせること)を区別することが大切です。同じことですが、いつの時点での選択のことを考えているのか、自分ではっきりさせておくことが大切です。
合理的期待 †
- 普通の日本語では都合のいいことを「期待」することが多いのですが、経済学の期待(expectation)という言葉はもっとニュートラルで、「予想」と言い換えてもいいでしょう。経済合理的な判断の基礎になるのは、その時点で手に入る情報から期待される利潤や効用です。これを合理的期待といいます。
- 後で情報が追加されると、それぞれの選択から期待(予想)される利潤や効用が変わり、経済合理的な選択が変わるかもしれません。
関連 フローとストック
|